セルクルの野菜<1>
今回はセルクルが仕入れている野菜について書いてみます。
少し長くなりますが、セルクルディッシュの基本コンセプトにもなりますので、しばらくお付き合いください。
2つの仕入れルート
飲食店の食材の仕入れルートはだいたい2つで、ひとつは食材業者から配送してもらうルート。業者に頼めば仕入れに出向く時間と労力がカットできますが、自分で食材を直接選ぶことができません。配送されてきた野菜をそのまま使うだけです。特に素材にこだわりがなく、提供する料理のレベルを一定にキープすることを目的としている場合には問題ないと思います。
もうひとつは、自分で買い付けにいくルートです。自分で買い付けに行くと市場で今何が出回っているのか、旬の野菜は何なのかが鮮明にわかるため、旬の野菜を積極的に使った料理を考えることになります。そして旬の野菜は四季の流れに無理なく作っているため、味は美味しく、数多く出回るため価格も安いのです。
セルクルは当然ながら後者のルート。片道1時間かけて週に1〜2度、地場野菜だけが出回る市場に買い付けに行ってます。毎週行っているので並んでいる野菜はおおよそ想像できますが、季節の変わり目だと一週間で一気に入れ替わっていたりします。そのため、週替りメニューはある程度構想して買い付けに行きますが、並んでいる野菜の種類や質に応じて臨機応変に変化させています。
地産地消の意味
セルクルは近隣市の市場的な場所で朝採り野菜をまとめて仕入れています。もちろんどうしても足りないものはスーパーで買うこともありますが、なるべく近隣の朝採り野菜にこだわっています。
その理由のひとつは『移動距離の少なさ』と『収穫から食までの時間』です。
一般的なスーパーで売られている野菜を見ると、関西圏のスーパーでも群馬県産や北海道産、長野県産等の野菜ばかりが売られています。地元の野菜を買うことのほうが難しいことが普通です。
普通の流通(スーパー、八百屋など)に乗っている野菜は、農家が収穫→軽トラ→集荷場→産地仲卸→トラック→卸売市場→トラック→消費地倉庫→トラック→小売業者という基本手順を踏みます(あくまで基本です)。この基本流通ルートがあるからこそのメリットも大きいのですが(いつでもレタスが手に入る等)、店頭に並ぶまでには収穫から数日が経過してしまいます。輸送トラックも保冷車が増えてはきていますが、常温輸送がまだまだ多いのが現状。なにより収穫地から何百キロも移動するということは、収穫されて弱り始めている野菜に、さらなるストレスを与えているのは間違いありません。魚や肉は冷蔵庫で少し寝かせたほうが美味しくなりますが、野菜は採れたて新鮮が一番美味しいのは間違いないと思います。
一時期『地産地消』という言葉が流行りましたが、確か農水省主導のキャンペーンだったと記憶しています。セルクルがやっていることもある意味「地産地消」ですが、その目的はシンプルです。
セルクルは『健康的な美味しさ』を追求しています。
季節の流れに無理なく育成された野菜を、採れたての状態で購入し、最短距離で移動して最短時間で提供する。
これがセルクルの、美味しい野菜を提供する方法のひとつだと考えています。